青色申告制度とは

『青色申告をすると確定申告で得をする』という話を聞いたことはあるものの、実際に青色申告のメリットや必要な手続きについてはイマイチ分からないという個人事業主(フリーランス)の方は多いのではないでしょうか。今回の記事では、青色申告について①青色申告制度の概要、②メリット、③必要な手続き、について解説します。

①青色申告制度の概要
青色申告制度とは『収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況をちゃんと記帳し、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる』という制度です。
→全ての取引を会計ソフトに正しく入力し、その会計データに基づいて確定申告すれば税金が安くなるというメリットがある、と理解すると良いでしょう。
青色申告をすることができるのは、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。

②青色申告制度のメリット
(1)青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、最大65万円を所得(=事業の利益)から控除できる制度のことです。所得税は所得から控除額を引いた「課税所得金額」に応じて課税される税金なので、控除額が大きいと課税される所得額を抑えることができ大きな節税になります。
不動産所得又は事業所得のみでe-Taxによる電子申告を行っている場合です。

(2)青色事業専従者給与
一緒に生活している配偶者やその他の親族のうち、青色申告をする事業にのみ従事している人(=他に仕事をしていない人)に支払った給与は必要経費に算入することができます。
→基本的に所得を分散させることで税金を少なくすることが可能です。例えば、1,000万円の利益を自身のみが受け取る場合よりも、自身が700万、配偶者が300万というように分散した方が税金は少なくなります。
青色事業専従者給与には、年齢が15歳以上・事前に届出書の提出が必要・給与は労務の対価として適正な金額でなければならない、などいくつか注意点があります。

(3)純損失の繰越しと繰戻し
事業である年に損失が生じた場合に、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します(=利益がでたら相殺することが出来る)。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

(4)少額減価償却資産の特例
1個(または1組)当たり30万円未満の固定資産については購入・使用開始した年度に一括して経費計上することができます。青色申告の承認を受けていない白色申告者の場合には、10万円未満の固定資産までしか一括で経費計上することができません。

(5)貸倒引当金
事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費とすることができます。

③必要な手続き
新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
新規開業した場合は業務を開始した日から2か月以内。

また、65万円の控除を受ける場合は複式簿記により記帳したうえでe-Taxによる電子申告を行う必要があります。会計ソフトを使用して記帳すれば複式簿記になりますので、あとは電子申告のためにマイナンバーカードとICカードリーダー(2~3千円)を用意すれば大丈夫です。


最後に
青色申告は主に記帳の手間がかかるものの支払う税金が少なくて済むという大きなメリットがあります。個人事業主(フリーランス)であれば確定申告のための記帳は何かしらの方法で行わなければなりませんが、今は各会計ソフトの使い勝手が良く専門知識が無くても青色申告のために必要な複式簿記での記帳はそれほど難しくないため、白色申告の方は積極的に青色申告への切替を検討すると良いでしょう。

不安な方は最初だけでも税理士へ相談するのも良いでしょう。この程度の相談であれば料金も低額で済むケースが多いです。

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