【学校法人会計の実務】部門別会計の解説

学校法人会計の中でも特徴的な部門別会計について解説です。
名前のとおり一般事業会社におけるセグメントと類似していますが、色々と異なる定めがあります。

◆部門別会計の対象
まず部門別会計は計算書類のうち資金収支内訳表及び事業活動収支内訳表の2表が対象となります。

◆資金収支内訳表に記載される部門
資金収支内訳表上に記載される部門は学校法人会計基準において以下のとおり定められています。
a 学校法人
b 各学校
c 研究所
d 各病院
e 農場、演習林その他c、dと同程度の規模を有する各施設

b 各学校についてはさらに以下のように細分するように定められています。
・2つ以上の学部を置く大学は、学部ごとに区分する。
・2つ以上の学科を置く短期大学は、学科ごとに区分する。
・2つ以上の過程を置く高等学校は、過程ごとに区分する。

◆事業活動収支内訳表に記載される部門
資金収支内訳表と同様にa〜eに区分されますが、各学校について学部、学科、家庭の各区分ごとに記載する必要はありません。

◆学校法人部門の業務の範囲
学校法人部門の業務の範囲については、以下の9つの業務が限定的に定められています。
①理事会及び評議員会等の庶務に関すること
②役員等の庶務に関すること
③登記、認可、届出その他の法令上の諸手続きに関すること
④法人主催の行事及び会議に関すること
⑤土地の取得又は処分に関すること
⑥法人運営の基本方針の策定事務に関すること
⑦学校、学部・学科等の新設事務に関すること
⑧その他『学校法人』部門に直接係る庶務・会計・施設管理等に関すること
⑨他の部門の業務に属さない事項の処理に関すること
※学校法人部門に直接計上される収支額は、上記9つの業務に必要な収入額・支出額と定められています。

◆部門別共通収支の配分方法の基本原則
・各部門に共通する収支は、在学者数、教職員数、使用時間又は使用面積等の妥当と考えられる配分基準により関係部門に配分します。
・各学校に共通する収支についても、上記の配分基準のうち妥当と考えられる基準により配分します。
・その他、上記の配分基準で配分することができないもの、又は当該収支の性質からみて上記の配分基準によることが不合理なものについては、各部門、学部、学科等の収入額又は支出額の合計額によって配分します。
一度採用した配分基準については基本的に毎年度継続して適用する必要があります。

◆人件費支出の部門別計上方法
①発令基準…人事発令というのは客観的かつ形式的な基準であるため、人件費支出は基本的に発令基準に基づいた各部門、学部、学科等に計上することとなります。
②実質基準…発令基準によっては、どの部門の人件費を計上するべきか判別できない場合には、主たる勤務がいずれであるかという判断によって人件費支出の部門別計上を行います。
③その他の基準…どの部門の支出であるか明らかでない人件費支出は、教員数又は教職員数の比率等を勘案して、合理的に各部門に配付することとされています。

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