【学校法人会計の実務】関連当事者との取引

学校法人会計における注記の中で一番時間を要する関連当事者との取引について解説です。
最も気をつけるべき点は、関連当事者を網羅的に把握することですが、取引相手は膨大な数がいるため期末のみに確認するのではなく、四半期毎など期中から定期的に確認しておくのが良いでしょう。

◆関連当事者の範囲
・関係法人
①一方の法人の役員若しくは職員等がt他方の法人の意思決定に関する機関の構成員の過半数を占めていること
②法人の資金調達額の総額の過半について融資を行なっていること
③法人の意思決定に関する重要な契約等が存在すること
※一般的に学校法人の出資割合が2分の1超という形式的な支配のみならず、実質的な支配関係の有無によって決定されます。また、日本私立学校振興・共済事業団から資金調達の総額の過半について借入を実行していたとしても関連当事者には該当しません。

・当該学校法人と同一の関係法人をもつ法人
ある企業が学校法人にとって直接関係法人の定義には該当しなくとも、間接的に同一の関係法人グループに属している場合が考えられます。

・当該学校法人の役員及びその近親者(配偶者又は2親等以内の親族)又はこれらの者が属している法人
近親者の範囲は、自身の祖父母又は孫まで、配偶者の祖父母又は兄弟までが含まれます。

◆関連当事者の判定時期
関連当事者に該当するか否かは個々の取引の開始時点で判定されます。
もし関連当事者が会計年度中に関連当事者に該当しなくなった場合には、関連当事者に該当している間の取引については注記しなければなりません。

◆関連当事者との取引の注記
関連当時者との取引は恣意性の介入する余地があり、特に透明性が要求されるため、関連当事者が自己又は第三者のために学校法人と取引を行なった場合には、その以下の内容を注記する必要があります。
(1)当該関連当事者が会社等の場合には、その名称、所在地、資本金又は出資金、事業の内容
(2)当該関連当事者が個人の場合には、その名称、職業
(3)当該学校法人と当該関連当事者との関係
(4)取引の内容
(5)取引の種類別の取引金額
(6)取引条件及び取引条件の決定方針
(7)取引により発生した債券債務に係る主な科目別の期末残高
(8)取引条件の変更があった場合には、その旨、、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

◆記載の省略が認められる注記
以下については関連当事者との取引であっても注記が不要とされています。
①一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引
②役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払
③当該学校法人に対する寄附金
④その他取引金額及び残高からみて重要性が乏しい取引

重要性が乏しい取引の決定方法として研究報告第16号に以下が示されています。
・役員及びその近親者との取引については100万円を超える取引について全て注記する。
・その他の関連当事者との取引は、事業活動収入計の1/100に相当する金額を超える取引については全て注記する。

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