【学校法人会計の実務】予算の役割

学校法人会計とは切り離せない予算についての解説です。
予算制度は学校法人にとって非常に重要であり作成、報告及び提出に関する定めがあります。

◆作成と提出の義務
・私立学校法第42条は『予算について理事長はあらかじめ評議員会の意見を聞かなければならない』としている。
・『学校法人の財務基準の調査研究について』は『学校法人は、その諸活動の計画について予算を編成し、予算にもとづいて運営される』としている。
・東京都は、収支予算書の当該年度の6月末までの知事への届け出と、その後変更したときは、変更後の収支予算をすみやかに知事に届け出ることとし予算の作成及び届出を義務づけている。

◆予算制度の意義
学校法人財務基準調査研究会から『学校法人の予算制度に関する報告について』として『財研報告第1号〜第4号』を公表しており、学校法人の予算とは学校の諸活動の具体的計画を科目と金額により表示し、総合編成したものであり、学校法人の運営に役立てられるべきもので、予算の編成と実行のための組織及び手続が予算制度であるとしている。

学校法人の運営にとって予算制度が重視されなければならないのは以下の理由による。
①学校法人の資金の源泉は学生生徒等納付金、国、地方公共団体等からの補助金、第三者による善意の寄付金等、貴重な財源がかなりの部分を占め、その使用は適正に行われなければならない。
②学校法人においては、その主要な財源である学生生徒等納付金収入は固定的であるのに対し、必要支出は変動的であることから『収入・支出の成り行き管理』は認められない。
③学校法人の資産運用について理事長は学校法人より委託を受けるが、その運用に先立ち収支の権限の範囲を予算によって明確に定めておく必要がある。

◆予算作成に関する留意点
①予算の体系化
財政面の裏づけを伴った長期計画に基づいた各年度計画が予算におりこまれなければなりません。
②予算管理組織の制度化
予算の編成・実行のための管理組織を確定し、予算管理上の責任と権限を明確にしておかなければなりません。
③会計組織の整備
予実の差異分析により、適時、適切に必要な措置をとることが可能な体制にしておく必要があります。
④予算編成方針の明示
理事長はあらかじめ重点、目標、重要な制作条件を明示する必要があります。
⑤予算の修正
年度の途中で事情が変化した場合は、すみやかに事業計画又は予算の修正の手続をとらなければなりません。
⑥予算の弾力的運用
予備費の使用及び予算の流用は所定の手続を経て行われなければなりません。
⑦予算実行の結果報告
理事長は年度終了後すみやかに予算の実行結果を明らかにし、所定の承認を得るとともに予実に著しい差があるときはその事由を明らかにしなければなりません。

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