【学校法人会計の実務】個別会計処理の解説③
前回に引き続き頻度は少ないものの発生可能性の高い非定型的な個別会計処理の解説です。
◆私立学校退職金団体からの交付金
私立学校退職金団体からの交付金は、同財団に登録されている教職員の退職に基づいて交付されるため、交付金の計上についての会計処理は教職員の退職という事実の生じた日の属する会計年度に未収及び未払計上行います。
未収入金及び未払金は両建て計上するのが一般的かと思いますが、相殺して表示することも認められています。
未収入金と未払金の計上額と実際の金額との間に差額が生じた場合には、当該差額を交付金又は掛金に加減して処理します。
◆私立学校退職金団体の特色と会計処理
・掛金の計算方法=会員拠出金及び都道府県からの補助金による事前積立方式
・掛金の会計処理=所定福利費又は私学退職金社団掛金等として処理
・交付金と退職金の相殺=事業活動収支計算書では相殺表示が可能
◆管理経費として処理する経費の内容
教育研究経費の範囲が比較的広義に捉えられているため、まず以下の7項目を管理経費として限定列挙し、これら以外の経費については学校法人が合理的に区分することとされています。
①役員の行う業務執行のために要する経費
②総務・人事・財務・経理その他これに準ずる法人業務に要する経費
③教職員の福利厚生のための経費
④教育研究活動以外に使用する施設、設備の修繕、維持、保全に要する経費
⑤学生生徒等の募集のために要する経費
⑥補助活動事業のうち食堂、売店のために要する経費
⑦附属病院業務のうち教育研究業務以外の業務に要する経費
※上記の項目についても教育研究用と管理用の双方に関連しているものについては、それぞれ直接把握するか、その使用割合など合理的な配分基準によって按分する必要があります。
◆教育研究経費と管理経費の具体的な区分方法
・固定資産に関連した経費=対象の固定資産の使途により区分
・食堂、売店のために要する経費=管理経費
・スクールバス運行に係る経費=原則的に管理経費
・その他配分基準=建物の使用面積割合や教職員と学生数の人員数割合に基づき配分
◆図書支出に関する会計処理
図書支出として固定資産に計上する図書は長期間にわたって保存・使用することが予定されているものであり、通常その使用期間が短期間であることが予定される図書は出版物費支出又は消耗品費支出として経費処理します。
寄贈図書は贈与時における『当該資産取得のために通常要する価額(定価等)』で評価します。