会社設立後(法人成り)の役員報酬・賞与金額について

前回の記事会社設立後(法人成り)の手続きで会社設立後は各種届出の提出と同様に、役員報酬金額をいくらにすべきかの決定も重要であると記載しました。
今回の記事では役員報酬・賞与に関するルールなども含め、役員報酬金額の決定方法についてより詳細に解説します。

◆役員報酬(=毎月の給料)の決定に関するルール
役員報酬の金額は好き勝手に決定・変更できるわけではなく以下のルールに従う必要があります。
・役員報酬の決定は株主総会で行う。 ※議事録や書面などで決定内容を残す必要があります。
・役員報酬は事業年度内は毎月同額でなければならない。
・役員報酬の変更は、会社設立時(翌期以降は事業年度開始)から3ヶ月以内のみ可能である。
例)3月末決算の会社の場合は、4月~3月までの役員報酬は同額でなければなりませんが、新事業年度の4月から6月末までであれば変更可能なため、4・5月は前期決定した金額で6月以降は新たに決定した金額とすることもできます。

◆役員賞与(=ボーナス)の決定に関するルール
役員賞与を経費計上するには、税務署に「事前確定届出給与に関する届出」を提出する必要があります。
「事前確定届出給与に関する届出」とは、役員賞与の支払う時期と金額を記載した書類であり、株主総会で役員賞与の決議をした日から1ヵ月経過日または支払う事業年度が始まってから4ヵ月経過日のいずれか早い日までに提出する必要があります。 ※新たに設立した法人の1期目の場合には設立日から2ヵ月経過日が提出期限。
例)3月末決算の会社を2021年5月末に設立し2022年5月末に株主総会決議を行う場合は、1期目は2021年7月末、2期目は2022年6月末が提出期限です。

◆役員報酬を決定するうえでのポイント
役員報酬は①役員の生活費として必要な金額かつ②法人と個人(役員)の税額合計がなるべく低くなる金額として決定するのが基本ではありますが、それぞれポイントがあります。

①役員の生活費として必要な金額
通常生活するうえで必要な金額が基準とはなりますが、社宅制度、出張日当や家族への非常勤役員報酬などを活用することによりある程度は自由に決定することが可能です。
また、生命保険や各共済を活用することで日々の生活費とは別に将来的な退職金を準備することも可能です。
役員個人として住宅ローンを組む場合には年収を基に審査されますので、そういった予定がある場合にはそれも踏まえて役員報酬を決定するようにしましょう。

②法人と個人(役員)の税額合計がなるべく低くなる金額
年間の法人利益見込みを算出したうえで、そこから役員報酬をいくらにすれば法人と個人の税額合計が最低になるかを、例えば50万円刻みなどでシミュレーションして決定します。
この時注意しないといけないのは、法人に残った利益を最終的にどのように使うかも合わせて考えなければならないという点です。
法人に残った利益は役員個人のものではないため自由に使うことはできず、役員報酬(賞与)の増額、配当金や退職金などの方法により役員個人へ移すにはいずれも別途税金が発生します。
また、法人として融資を受ける際には利益の金額が重要になりますので、その点も踏まえて決定する必要があります。

◆最後に
役員報酬及び賞与の決定は単純に役員個人が必要な金額とするよりも、様々な制度を活用し慎重にシミュレーションしたうえで決定することで大きな節税効果を得られることがあります。
しかし、各制度それぞれ注意点を把握したうえで活用し税金のシミュレーションを行うことは個人事業主の方には容易ではなく、また税務上のリスクもあるため基本的には税理士へ相談した方が無難です。

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