会社設立(法人成り)の事前準備
前回の記事では会社設立(法人成り)のメリット・デメリットや会社設立(法人成り)のタイミングについて記載しましたが、今回は会社設立(法人成り)をすると決定した後から設立完了までの間に行うべき準備についての記事です。
会社設立の具体的な手続き自体については多くのサイトで分かりやすく解説されていますので今回の記事では省略し、実際の会社設立の手続きに入る前の事前準備に絞って解説しています。
事前準備とは言え色々決めないといけない事項が多く時間がかかるため、会社設立を設立することになりそうになった時からなるべく早く事前準備に入ると良いです。
※個人事業主からの法人成りを前提にしていますが、いきなり法人設立する場合も基本的には同様です。
◆会社設立(法人成り)の基本的な流れ
①会社設立(法人成り)するかどうかの検討
→前回の記事会社設立(法人成り)のメリット・デメリットと会社設立(法人成り)のタイミングで解説しています。
②会社設立することを決定する
③会社の基本事項を決定する
→今回の記事で解説します。
④会社設立の手続きを進める
→必要書類や定款等の作成、公証人による定款認証、法務局での登記申請、登記事項証明書及び印鑑証明書の取得の手続き等を行います。多くのサイトで解説されていますので今回は省略します。
⑤会社設立後の各種手続き
→次回の記事で解説します。
◆会社設立(法人成り)の事前準備
会社設立の手続きを進める前には以下の基本事項を全て決定しておく必要があります。
中には既に決まっていたり簡単に決められる項目もありますが、全体としては10項目程度あり全て決定するには時間がかかるため、一つずつ確実に決定してメモしておくと良いでしょう。
・会社の形態
→ほとんどの場合が株式会社か合同会社になるかと思いますが、それぞれメリット・デメリットがあるので慎重に決定する必要があります。
・会社名を決める
→基本的に自由に決められますがいくつかルールもあります。
・事業目的
→事業の実態をそのまま書けば良いですが、記載できる事業目的の数に制限は無いため将来の事業拡大も考慮して幅広く書いておくと定款変更の手間を省けます。
・本店住所
→本社の住所のことで自宅以外にもレンタルオフィス、バーチャルオフィスや登記可能なコワーキングスペースなども可能です。
・役員構成(機関設計)
→考える必要があるのは「取締役会」を設置するかどうかということですが、どちらもメリット・デメリットがあるので慎重に決定する必要があります。取締役会を設置するには取締役が3名以上必要となるため、特に候補者がいなければ自動的に「取締役会の設置無し」ということになります。また、取締役の任期も合わせて決めておくと良いでしょう。
・資本金額
→1円でも可能ですが、事業を行うための資金であり信用力も表しますので現実的には300万円~1,000万円程度は必要なケースが多いです。資本金の調達方法は自己資本(自前)以外にも創業融資といった方法もあるので、それも踏まえて資本金額を決定すると良いでしょう。また、株式会社の場合には株式数についても合わせて決めておくと良いでしょう。
・事業年度の決定
→3月末企業が多いですが自由に決定できます。売上が多い月を期初になるようにする、設立から期末までの期間を十分に空ける、申告時期が年末年始に重ならないようにする、といった点に注意しながら決めると良いでしょう。
・その他
→会社の印鑑作成、個人の印鑑証明取得など細々した雑務もあります。それほど時間はかからないので都度対応すれば十分です。
◆最後に
以上が会社設立にあたって決定しておかなければならない事項です。
数が多く時間はかかるもののこれら事前準備さえ終わってしまえば、会社設立の手続き自体は特に難しいことはなく、機械的に進めることができます。
全て会社設立の手続きに入る前に事前に準備(決定)しておくことが可能なため、会社設立を決めたタイミングで少しずつ決定しておくと良いでしょう。
また、会社設立前でも会社設立のために使った経費については、会社設立後の経費とすることが可能であるため領収書やレシートなどは全て保管しておくようにしましょう。