【後編】節税目的で経費を使うとは?どのぐらい得なのか?
前編の内容では『節税目的で経費を使う』ことのメリットがありませんでしたが、ちゃんと得するケースもあります。
また、実は世間一般で言われる『経費』には当記事で前提としている意味以外の別の意味があります。
◆節税目的での経費使用で得するのはどういう場合か?
当年度は利益が出たが翌年度以降に利益が見込めない場合には得する事が多いです。翌年度以降は利益がなく税金も発生しないため、当期に経費を使用し利益(=税金)を減らした方が得になるという状況です。
→つまり極めて限定的です。
◆『節税目的で経費を使う』には別の意味がある
節税目的で経費を使って得をするケースは非常に限定的にも関わらず『今年は利益が多く出そうなので節税目的で経費を使おう』という言葉を時々耳にするのは何故でしょうか?皆さんが勘違いをしていてただ損をしているだけなのでしょうか?
実は、ここまで大前提として『経費=事業のみに必要なもの』として説明してきましたが、世間一般で『節税目的で経費を使う』と言った場合の経費とは、事業に関係のないプライベートな支出(以下家事費)を指していることが多々あります。
例えば、ブランド品、飲み代、高級車、大きい物では不動産などです(いずれも事業で使用しないもの)。
今回の例でもし100万円が事業に必要のない家事費(仮に飲み代とします)であった場合、事業としては②節税有りのように手取り収入が280万円に減少しますが(前編参照)、Aさん個人としては100万円分の飲み代が無料なので得しています。
所得500万円について、ただ税金で150万円持っていかれるぐらいなら、100万円分ぐらいは経費として好き放題飲み食いしつつ税金も減らすのが得である、という考えです。
では、このように事業とプライベートを混同するような経費の使用が法律上認められるのか?、についてですが家事費を事業に計上することで事業の所得を減らす=税金を減らすという行為は節税ではなく脱税であり、当然に認められません。
これが認められるのなら常に事業の利益は家事費に使い、税金は永遠にゼロとすることが可能となってしまいます。
しかし、特に税務に関する知識の無い個人事業主はこのような事業とプライベートを混同してしまっており、また個人事業主はそれほど税務調査に入られる可能性は高くないことから、大なり小なり行われ続けているのが実情です。
事業用の経費と家事費の混同、これが『節税目的で経費を使う』の実態(の一部)です。
◆事業用の経費として認められるものとは?家事費とすべきものとは?
別の記事で解説します。