個人事業主(フリーランス)にとって法律上認められる経費の条件とは?家事関連費の按分とは?
個人事業主(フリーランス)が事業を行う上で発生する支出は、①事業を行うために必要な支出(以下必要経費)、②事業とは関係のない生活費や個人的な趣味のための支出(以下家事費)、③プライベートと事業の両方にかかわりがある支出(以下家事関連費)、の3つに区分することができます。
①〜③のうちどのようなものが経費に該当するのか、経費と認められるための条件について解説します。
※青色申告を前提としています。
①必要経費
事業を行うために必要な支出であり経費として認められます。
所得税法37条1項は、「当該総収入金額を得るため直接要した費用」及び「所得を生ずべき業務について生じた費用」と大まかにしか記載されていません。
実務上はその支出が、業務に直接関係あること、業務を行ううえで必要であること、支出に見合う収益を得ていること、を客観的に説明できれば基本的には必要経費として認められます。
②家事費
事業とは関係のないプライベートな支出ですので、当然経費として認められません。
良くある例としては、事業に関係のない衣料費、飲食費、娯楽友好費等です。
※これら費用でも①に該当するものがあれば必要経費となる可能性があり、一概には区分できないことに留意が必要です。
③家事関連費
事業用とプライベート用の両方が含まれているため、全てを必要経費とすることはできませんが、業務上直接必要であった部分を明確に区分できる場合には、その区分した部分の金額を必要経費として取り扱うことができます。
良くある家事関連費は、自宅兼事務所の場合の家賃(借家)、減価償却費(持ち家)、水道光熱費、通信費(電話・ネット代)、車関連の費用一式、等で、これらを家事費と必要経費とに客観的に説明可能な基準で按分します。
按分の基準は経費の種類や事業の実態により異なるため一概には言えませんが、一般的には『面積・使用時間(日数)・使用量』を基準としていることが多いです。
例)家賃=面積、通信費・電気代=時間、車関連=走行距離や使用日数
案分基準で重要なことは第三者(税務署)に説明して納得してもらえるような明確な基準を用いることで、あまり強引な基準だと経費と認められない可能性が高くなります。
可能であれば根拠となるような資料や記録を残しておくことでより説得力が高まります。
◆最後に
必要経費、家事費、家事関連費を区分することは手間ではありますが、一度しっかりと整理すれば長く同じ方法が使えますし、特に家事関連費の案分などは見直すことによる節税効果も高いため慎重に検討すると良いでしょう。
不安な方は税理士へ相談するのも良いですが、最近では経費に関するネット記事も多くあるため家賃・車・携帯代・水光熱費など主な項目については一般的にどのぐらいの割合が経費として認められやすいのか自身で調べることも可能です。ネット記事などは100%信頼できるものではありませんが、自身の使用実態(割合)と概ね一致していれば否認されるリスクも少なく十分に参考になります。