中小企業経営者・個人事業主(フリーランス)は経営セーフティ共済に加入すべきか?節税効果は?
中小企業経営者・個人事業主(フリーランス)なら一度は耳にしたことのある経営セーフティ共済ですが、どのような人が加入すべきなのでしょうか?
また、節税方法の一つとして紹介される機会もありますが、どの程度の節税効果があるのでしょうか?
◆概要
・経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
・無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。
・掛金月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000 円単位)で自由に選択でき、掛金総額が800万円に達するまで積み立てることができます。
◆対象者
継続して1年以上事業を行っている中小企業者(会社または個人の事業者)。いくつか加入条件はありますが特にハードルは高くないです。
◆メリット
・貸付が受けられる
→制度本来の趣旨である取引先の倒産によって受けられる「共済貸付金」※の他に、解約手当金の95%を上限として借入られる「一時貸付金」もあります。
※共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額。
・解約しても解約手当金が受け取れる
→掛け金の納付月数が12カ月以上あれば、それまで支払った掛け金総額に応じた解約手当金が支給されます。解約手当金の支給率は85%~100%ですが、40ヶ月以上納付すれば任意解約でも100%支給されます。
◆デメリット
・借入の際(共済貸付金)は、共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。
・掛金納付月数が一定期間以上でないと解約手当金の支給率が100%未満(=元本割れ)となる。
・事業を継続して1年以上経たないと加入できない。
・中小企業を対象としているため、掛金総額は800万円(=借入は8,000万円)までが限度。
・掛け金を拠出すると節税効果以上に資金繰りが悪化する。
◆節税効果
掛け金は全額損金算入できますが、解約手当金は事業所得の収入金額(法人は益金の額)となるため、全期間で見ると節税効果はほぼありません。
◆どのような中小企業経営者・個人事業主(フリーランス)が経営セーフティ共済に加入すべきか?
元本割れのリスクと借入時に掛金の10分の1を失うという重要なデメリットがあるので安易な加入は控えるべきです。
そのため、制度本来の趣旨をフルに享受できる『取引先業者が倒産しそうで、その取引先に対する債権額が自社(自分)にとって重要で、かつ資金繰りに窮した際に金融機関から融資を受けられない可能性が高い』という状況以外は積極的に加入すべきではないと言えます。
今は比較的金融機関の融資を低利で受けやすい状況で、金融機関からの借入の方が有利なケースの方が多いかと思慮されます。
※節税効果はほぼ無いので、加入を検討する際に考慮する必要はありません。