【経理実務の注意点】監査法人はどこをチェックしているのか?

以前の記事で監査とはどういったものかを紹介しましたが、今回は監査法人(公認会計士)が監査業務でどこをチェックしているのかについて解説です。

◆監査対象
監査業務における監査法人の責任は、有価証券報告書及び四半期報告書(以下有報等)について監査意見を表明することですが、全てを一字一句チェックするわけではなく、その中の『経理の状況』のみであることが有報等の最後に添付されている監査(レビュー)報告書に明記されています。
『経理の状況』とは財務諸表+注記+附属明細表のことなのですが、監査対象=有報等に記載された情報のうち会計データを基に作成されている情報、と考えると分かりやすいかと思います。

◆監査法人のチェックポイント
基本的に『経理の状況』に記載されている情報は一字一句確認します。
主に勘定科目名・金額・注記・附属明細表の内容について、確認済みの会計データと一致しているか、記載例通りの様式通りに作成されているか、前期の開示内容と整合しているか、をチェックします。

◆経理実務の注意点
監査法人はチェックの過程で誤りが見つかれば修正を依頼しますが、何をもって誤りとするかは明確な根拠があり会計士によって異なるものではありません。
余談ではありますが、根拠が不明確なまま修正依頼をする会計士がいることも現実にはあります。そこで、修正依頼の根拠がよく分からない時やおかしいと思ったときは気軽に聞いてみましょう。説明するのも会計士の責任です。

そのため、経理担当者が有報等を作成するうえで注意すべき点は、各項目の作成根拠を明確にするべきということです。
例えば、勘定科目や注記=記載例に合わせている、科目組替=会計基準に従っている、当期金額=会計データから集計、前期金額=前期開示資料から転記、等です。

当然のことのように思えますが、特に有報ではボリュームが多いため全ての項目について明確な根拠に基づき記載することは、簡単なようで難しいです。
実際、歴史のある大企業でも注記数値や雑損益科目の集計過程が不明確で期によって変わったりしていることがあります。
会計基準・記載例・社内規則などとにかく記載の根拠を明確にし、かつ明文化することが重要です。

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