【経理実務の注意点】監査法人が勘定科目名や注記情報をチェックする際のポイントは?

前回の記事では監査法人がチェックする際の金額基準は税前利益の2.5%〜4%であることを記載しました。
有価証券報告書・四半期レビュー報告書(以下有報等)のうち監査対象である『経理の部』には、金額以外にも主に勘定科目と注記があります。
監査法人がこれら情報をチェックする際のポイントを解説します。

ポイントは会計基準に従って作成されているか
監査法人が有報等をチェックする際に適切かどうか判断する根拠は、ほとんどの場合が会計基準に従って作成されているかどうか、です。
企業特有の根拠に基づく開示もありますが、これらはあくまでも例外的な場合で、会計基準に基づいた開示がなされるのが大原則です。
それを踏まえた経理実務上の注意点は以下の通りです。

◆基本は会計基準に従う
上述したように、監査法人がチェックする際の判断根拠は会計基準であることから、それに基づき作成しておけば問題ありません。
別の記事で経理業務で有報等を作成する際には、どうしてその金額・科目名・様式にしたのかという根拠を明確にすることが重要であると解説しました。
重要である理由は、自社の有報等作成ルールを明確にすることで正確かつ迅速に作成できるようにするという意味の他に、多くの場合根拠となるのは会計基準であることから監査上も適切と認められ余計な修正ややり取りが不要になる、という意味もあります

◆効率的に作成するには記載例
各記載項目について一つずつ会計基準を確認するのは手間がかかりますが、宝印刷やプロネクサスといった印刷会社が作成している記載例を見ると、記載例と合わせて根拠となる会計基準が記載されており非常に便利です。
実際会計士も六法から探すのではなく、自分がチェックしている有報等の該当箇所と印刷会社の記載例とを合わせて見ることも多々あります。

◆記載例に無い項目は同業他社事例
あまり無い例ではありますが、時々自社固有の勘定科目や注記事項については記載例で触れられていないことがあります。
そういった場合には、あるべき手順としては自社で検討の上適切な開示を行うことではありますが、同業他社の事例も参考になることがあります。
あくまで同業他社の方針に基づく開示のため、会計基準よりは根拠としての信頼性は劣るものの、既に他社が作成し監査法人がOKしたうえで開示された書類ということで、一定程度の信頼性はあります。

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